いろいろな音のひびきを味わおう(5年生)
~打楽器でリズムアンサンブルづくり~
子どもたちは,打楽器が大好きです。振る・こする・打つなどの演奏方法で簡単に音が出て,種類もたくさんあるからでしょう。本題材は,教科書(「小学生の音楽5」教育芸術社)に掲載されているリズムアンサンブルづくりの実践です。音楽づくりの学習では,思考力・判断力・表現力をたくさん使います。曲が完成されるまでの過程がとても大事です。今回は,「打楽器の音色の良さや違いを言葉で伝え合う」ということを軸にしながら学習を進めました。
打楽器を使う時には,学習環境を整えることも大切です。
皮・木・金属の楽器ごとに並べています。
①わたしの楽器はこんな音がするよ!~音色カードを使って~
子どもたちは,自分が演奏するリズムに合った楽器を選びます。いつもなら,この後すぐにグループでリズムを変えて,音楽の仕組み(反復や呼びかけと答えなど)を使って音楽をつくって…という流れになるのですが,今回は,まず打楽器の音色の面白さ,多様性に気付かせることにしました。
自分の楽器をいろいろな奏法で鳴らして,どんな音がするかをじっくりと聴き,感じたことなどを音色カードに書き込みました。
(記入例)
②3つの音が重なり合うとこんな音がするよ!
3人グループになって活動します。子どもたちは,上記のように,それぞれのリズムに合う楽器を上手に選びますが,「どうしてその3つの楽器の組み合わせにしたの?」と問うと,「なんとなくいいと思ったから」という答えも・・・。そこで,3つの楽器の音が重なり合うとどんな音がするかを書き出すことにしました。
(記入例)
●「小さいおまつりのような音」(カスタネット+すず+クラベス)
●「サーカスできこえる音みたい」(カホン+クラベス+ウッドブロック)
●「3種類の楽器(金属・皮・木)がそろっていて聴きやすい!」(タンブリン+トライアングル+ウッドブロック)
●「のんびりした感じ」(ウッドブロック+カスタネット+トライアングル+クラベス)
打楽器は,演奏方法によっても音色が変わってきます。グループで決めた楽器を使って,教科書に載っているリズムアンサンブル曲を演奏し,聴き合いました。タンブリン+トライアングル+クラベスで演奏したグループがありました。そのグループの演奏を聴いていた子どもたちからは,「音は暗い感じがしたけど,一番楽しかった」「トライアングルがリズム3(※1)になるのは珍しい」「トライアングルは手で持ってあまり響かないようにしていた」などの感想が出されました。また,「お通夜みたいな感じがした」というつぶやきも。クラベスの音がまるで木魚のようにきこえたのかもしれません。
※1:リズム3
打楽器の音色をたっぷりと味わった後は,グループで自分たちの打楽器の音色を生かしたリズムアンサンブル曲づくりです。音楽の仕組みである「反復」と「呼びかけと答え」を使いながら音の組み合わせ方を変えたり,リズムや終わり方も変化させたりしながらつくりました。
今回は,音を言葉で表現することにこだわった音楽づくりに取り組みました。言葉にすることで,思いや意図を友だちと共有しながら音楽をつくっていく子どもの姿が見られました。また,「おまつりみたいな音」や「拍手みたいな音」「釘を打つ音」など,生活経験に基づいた言葉が共有されやすいことが分かりました。「おまつりみたいな音っていうことは,強弱はどうなのかな?」「拍手みたいな音っていうことは響きがあるの?ないの?」など,教師が生活経験に基づいた言葉を音楽の要素と結び付けていくことが大切であると感じました。このような経験を積み重ねることで,子どもたちが自然に音や音楽を,音楽を形づくっている要素とその働きの視点で捉えることができるようになってくると考えます。