問いがつながる複式教育
~司会者・記録者・フォロワーの学びの質を高めることを通して~
1.研究テーマ設定の理由
学校提案を受け,昨年度は複式教育提案を「問いがつながる複式教育~学び合いの場を生み出すみとりと支援~」とし研究に取り組んだ。異学年が同時に学ぶ複式学級においては,単式学級以上に子どもの生活経験や学習経験が異なる。この差異を活かしていくことが,子どもの問い続け、学び続ける姿を支えると考えたからである。そのためにみとりと支援を大切にしたが,視点が広すぎたため研究を深めることが難しかった。
そこで、子もたちが自ら問い続け,学び続ける司会者・記録者・フォロワーの学びとはどのようなものなのか,そのために教師はどのような視点をもつべきなのかについて探っていきたい。
2.研究仮説
子どもたちが司会者・記録者・フォロワーのそれぞれの立場で表出した言葉を互いに解釈し合い共有させていくことで,新たな気付きが生まれ、自分の考えを広げたり,深めたりしていく。その経験を積み重ねていくことで、子どもたちは、問い続け学び続けていくだろう。
3.複式教育における「問い続け,学び続ける子どもたち」
『司会者・記録者・フォロワーがそれぞれの役割に責任をもち,学び合う姿』
子どもたちが対象・他者・自己と対話しながら学びを深めるための意欲となるもっと知りたいと思うものを問いと考える。司会者・記録者・フォロワーの質が高まることで問いから深い学びになっていくだろう。
そのために司会者・記録者・フォロワーのそれぞれの具体的な姿を可視化し,教員と子どもが共有化していく。以下に,各発達段階における具体の姿を示す。※一部抜粋
| 低学年 | 中学年 | 高学年 |
学び方 | 教師の支援を受けながら学び方を知り,様々な学習形態を経験する。 | 教師の支援を参考にして問題解決に合った学び方を選択し,自分たちで学習を進める。 | 自分たちで問題解決に最適な学び方を選択し,学習を効率良く進めて学びを高める。 |
司会者 | ・順番に意見を聞くなど,偏りなく指名する。 | ・同じ考えや違う考えを分類しながら指名する。 | ・相手の意見を受けて,関連付けながら指名する。 |
記録者 | ・大事なところを線で囲んで目立たせるなど,工夫する。 | ・誰が発言したか分かるようにしたり,立場と理由を色で分けたりするなどをする。 | ・反対意見や追加意見を効果的に書き加え,発言内容を線で囲んだり,関連性を示したりする。 |
フォロワー | ・相手の意見との違いに触れながら適切な考えを見出そうとする。 | ・相手とともに新たな考えを生み出したり,深めたりしようとする。 | ・相手と考えを伝え合い,適切で価値の高い考えを生み出そうとするとともに,自分の考えの変容に気付く。 |
4.研究内容
(1)異学年交流を大切にした授業づくり
(2)子どもの学習意欲を引き出す課題づくりや課題提示の工夫
5.研究評価
授業実践の中での子どもの言葉をもとに,問いがつながる複式教育の成果と課題を明らかにする。検証には,授業での子どもの言葉や考えが表現されたノートを用いる。