御 礼
去る6月11日(土),今年度の研究テーマ(学校提案)である「問い続け,学び続ける子どもたち ~子どもの言葉でつくる授業~」の下,複式提案「問いがつながる複式教育 ~学び合いの場を生み出すみとりと支援~」に基づき,第16回複式授業研究会を開催しました。
天候にも恵まれ,他府県からの参加も含めて,史上最多の約130名の先生方にご参加いただくことができました。
内容の詳細は,下のまとめを御覧いただければと思いますが,全体会での複式提案,算数,国語,総合の3つの公開授業(研究授業),低・中・高学年の3部会に分かれての研究協議,複式授業に関わってのワークショップ(交流会)を行いました。いずれも,参加者の皆様のご協力も頂き,大変活発な議論と交流が行われました。
私たち和歌山大学教育学部附属小学校は,地元和歌山県の山間地などで取り組まれているへき地教育や複式授業などの実践課題に応えるべく,3つの複式学級を設置し,そこでの実践を通して,そのあるべき姿を長く追究してきました。そして,今回16回目を迎えるこの複式授業研究会で,地元和歌山県はいうまでもなく,全国に向けて発信して来ました。
こうした私たちの歩みを通して明らかになってきたのは,へき地校や小規模校の複式授業が綿々と育んできた学びの姿やそこに含まれている教育的価値の豊かさですが,同時に,それらが単式学級も含めた現代の学校や学びの改革に対しても,確かな指針を指し示すことができるという確信です。それは具体的には,今日の学びの改革のなかで求められるいくつかの課題,それは例えば,「個」を徹底して育てる個別化・個性化教育,アクティブ・ラーニングにもつながる「主体的・協働的な学習」,学校と地域社会が連携という枠組みを超えて,さらにコラボレイションしていく「学社融合」教育などを先取り的に提起しているということもできます。
特に,上で述べた徹底した「個」の追究とその思考から出発し,それらが自主的・主体的につながっていく「学び合う」学びは,授業の様式が「直間移動」であれ,「同時間接」であれ,私たち附属小学校がその教育伝統として何よりも大切にしてきたものです。
今回の「問いがつながる複式教育 ~学び合いの場を生み出すみとりと支援~」という研究主題は,こうした私たちのこれまで大切にしてきた学びのあり方を継承しつつ,これからの学びのあり方や学校改革への問題提起ということを含んでいるのです。
そうした点で,私たち附属小学校でも,これからの複式学級の教育的可能性をどのように拓き,さらに発展させていくかについて,引き続き追究していきたいと考えております。
最後に,お忙しいなかにもかかわらず,指導助言をお引き受けいただいた先生方,及び,ご参加いただきました先生方に,衷心より御礼を申し上げます。
本当にありがとうございました。
和歌山大学教育学部附属小学校 校長 船越 勝