1.本時について
本時の主張は,「はじめに,前時までの学びを振り返り,各教科等の学びを活用しやすい状況をつくることで,日常モラルやインターネットの特性を踏まえた問題解決ができる」ということでした。
前半は,本時の学習課題の「どうすれば,ネット依存にならないよう,インターネットを上手に使うことができるか。」を解決するための方法として,「チラシで伝える」「口で伝える」などの予防法を「伝える・発信する」という意見が先行しました。伝える・発信するということに思考が向かいすぎて,肝心の予防法について子どもたちの口から語られなかったことから,「何を伝えるといいの?」という発問をしました。
後半は,「約束(ルール)をつくること」と「約束(ルール)を守ること」の両方が大切であるという意見を多くの子どもたちが語りました。その中で,家族に協力してもらうことや家族会議を開くことなどの意見も挙げられました。さらに,フィルタリングを利用したり,「奥の手」として約束を破ったら,使えなくしたりするという意見も挙げられました。
興味深かったのは,子どもたちが「自分たちが約束(ルール)を破ってしまう前提で話が進んでいること」と「約束やルールを破ってしまうだろうけれど,家族の協力などは,あくまで奥の手であって,基本は自分が約束を守れるようにしなければならないと考えていること」でした。「約束を守る」という規範意識が不十分であることは今後の課題ですが,自分たちの実態をよく省察しているからこその思考であったのではないかと考えます。
最終的には,「一人ひとりちがう,その子に合わせた自分だけのルールをつくり,守ることが大切だ」という結論に至り,一時間の授業を終えました。
【本時の板書】
本時を振り返ると,「道徳で学んだ日常モラル」にかかわる知識や価値がよく活用されていた一方で,インターネットの特性については活用された様子が窺えませんでした。インターネットの特性について,例えば「インターネットは依存すると怖いけれど,便利だ」というような考えが活用される展開にするには,主張点にあるような「前時までの学びを振り返り,各教科等の学びを活用しやすい状況をつくる」という手立てや「フィルタリングを活用し,インターネットを利用できなくすれば問題がなくなるのではないか?」という発問では,効果が弱かったと言わざるをえません。
しかし,本時の学びは,学活の学習へとつながり,次時には,具体的な約束(ルール)を考え,家族会議を開くという学びへと発展していきました。
複合単元にすることで様々な教科等の見方・考え方をはたらかせながら,ある一定期間「ネット依存」について探究したからこその学びの発展であったと考察します。
【本時までの学習で学んだ知識や価値】
【考えを聞き合う子どもたち】
2.座談会での学び
ネット依存への対処法を,「他律的なものから如何にして自律的なものにしていくの
か」ということが今後の実践で取り組まなければならない課題として浮き彫りになりました。また,どの学年でどのような情報モラル教育を行うのかということを学校全体で共有し,実践していくことの大切さを感じました。
さらに,各家庭で情報機器の扱い,活用頻度や活用時間が異なること,保護者自身がいわゆる「ネット依存」の状態になっている場合が考えられることから,家庭と連携しながら情報モラル教育をすすめることの意義と困難さの両方があることを再認識しました。
●指導案は
こちら●当日資料は
こちら:本実践の主張点にかかわる資料