廃材楽器で音楽づくり ~プログラミングゼミを活用して~
音楽科 北川 真里菜
1.楽器って,どうやってできているの?
本題材では,子供たちが総合的な学習の時間に収集していた廃材を音楽づくりの素材にしようと考えました。子供たちの身の回りにある音を素材として扱うことにより,音楽科の学習を通して育成を目指す「生活や社会の中の音や音楽と豊かに関わる資質・能力」の育成が期待できます。また本活動は,本来は捨てられるはずの製品に新たな価値を与えて再生する「アップサイクル(創造的再利用)」に値するものであり,持続可能な社会づくりにつながるものです。
廃材楽器を作成する前に,音楽室にある既存の打楽器の素材やその構造について調べました。また多様な打楽器の奏法を試し,たたき方やたたく場所,たたく物,素材によって音色が変化することを学びました。
2.ごみで楽器を作ってみよう!
子供たちは,これらの学習を生かし,廃材から出る音に耳を傾け,多様な音の出し方を模索したり,様々な奏法を融合させたりと,「音色」にこだわりながら廃材楽器を作成しました。下記の写真は,傘の柄や瓶を使って作成した楽器です。「たたく」「こする」のように多様な奏法で楽しむことができ,ウッドブロックのように,左右で異なる音が出るように工夫されています。
3.廃材楽器で,音楽をつくろう!
その後,作成した廃材楽器を用いて,強弱を図式化したカードを用いた音楽づくりを行いました。 その際は,無料のプログラミングソフトであるプログラミングゼミ(株式会社DeNA)を活用することで,子供たちが様々な音の組合せを試行錯誤しながら音楽をつくれるようにしました。カード内に廃材楽器の音を録音し,プログラミングして音楽をつくりました。
子供たちは,「呼びかけとこたえ」や「反復」等の音楽の仕組みを用いながら,つくりたいテーマに合った「重ね方」にするためにどのような「強弱」カードを使うか、「音色」や「曲想」の違いを聴き取ったり感じ取ったりしながら音楽をつくろうとしていました。その際,何度もつくった音楽を再生して聴き返し,修正・改善を繰り返す姿が見られました。
これらの子供の姿は,プログラミングの活用によって直感的操作や音楽の即時再現が可能となったこと,音楽の構成が視覚的に捉えやすくなったことが関係していると考えられます。
タブレット上でつくり終わると,「本物の楽器で演奏してみよう!」と言って,子供たちは廃材楽器を使って演奏し始めました。このように,プログラミングは音楽づくりの有用なツールとなり得るとともに,楽器への再帰性があることが期待できます。
ICT・プログラミングを活用した音楽づくり・作曲について研究しています。
#音楽づくり,プログラミング,ICT