国語科

古典学習へのハードルを下げるには・・・!?(5年生実践)

5年生実践
単元名「古典を読んで、あなたは『イイね!』できるかな、できないかな」

「古典?今の言葉じゃないのに、なんで勉強するの・・・」ではなく、「古典っておもしろいな!」という姿を目指して
(1)本実践における工夫
 ①子どもにとって、自然な学習展開にするために

   単元をつなげることで、学習意欲の持続や、次の単元へ入ることが自然な流れでの学習展開となるのではないかと考えました。

②子どもと古典の距離を縮めるために

  学習指導要領に例示されている伝統的な言語文化に関する事項

  低学年:昔話や神話・伝承
中学年:易しい文語調の短歌や俳句、ことわざや慣用句、故事成語
高学年:親しみやすい古文や漢文、近代以降の文語調の文章、古典について解説した文章
つまり、5年生の教科書に掲載されている古典は、中学、高校と続く「古典」の入り口でもある。「古典っておもしろい!」と思える学習にしたい、むしろ、しなければ!と考えた。

③子どもと古典文学の易しい出合いにするために

 ・百人一首とデジタル教材を使って、清少納言、「枕草子」との出合いを設定。

・「枕草子」を読む際、導入で挿絵を使用。

(3)子どもの感想より
・春夏秋冬を考えるのがむずかしかったです。南紀旅行を思い出しました。枕草子を読んで分かった事は、春は明け方の方がいいと分かりました。いつも清少納言さんが空を見ていていいと思ったりわるいと思ったりしてたんだなあと思いました。枕草子のいいなあと思った所は、かなしかったことや、うれしかったことが書いていて、きれいな空のことをどう思ったか書いていたところです。
・マイ枕草子を作るのは大変だったけど、この枕草子をみて、とてもやるきになったから、清少なごんという人はすごいなあと思った。とても心にのこった。
・全部、食べ物や自然から出来たもので作りました。友達の枕草子は旬のものがたくさんでてきて、とても春が分かりました。清少納言さんの枕草子は、自然のもので太陽や月があってとてもいいなと思います。春夏秋冬にはいろんな旬のものや人が作ったのがよく分かりました。またちがう物を作りたいです。
・枕草子をつくるのはむずかしかったです。特にむずかしかったのは、文を丸(句点)でしめた後、つないでいくのがむずかしかったです。「春はおだやか」は、人々の目線から書きました。春は人々の気持ちや町や村の気候、夏は人々の思う場所を、秋は人々から思う「秋」のいいところを、冬は新年のことや寒いことを考えながら書きました。南紀草子は、南紀旅行で自分が「イイね!」と思ったところを書きました。ぜひこの本をまた読んでください。

(4)成果と課題

○創作に対して「何書いたらいいか分からない」「むずかしい」「はずかしい」と言って敬遠していた子どもたちが、進んで創作しようとするようになりました。

○身近なこと(季節、校外学習)を題材とすることで、全員が意欲的に取り組みました。

○「マイ枕草子」づくりは楽しんで取り組んだ。書くのが好きではない子どもも楽しむ姿が見られました。

○見たことを5・7・5音や文章で表現することを楽しむ姿が見られた。自分の心が動いた景色や一瞬を切り取ることの楽しさを味わっていました。

○②子どもと「枕草子」や清少納言との距離は縮まった様子でした。

○③挿絵を導入で使うことで、子どもの食い付きが良かった。イメージが湧きやすかったようです。
○②「枕草子」で使われている古語、歴史的仮名遣いに興味をもつことができました。
●①第1単元と第2単元を設定、関連させることは可能。しかし、子どもの意識としては、第1単元、第2単元は続きという感じで学習していたようにも感じられました。

▲本時のめあて、当日案には「『イイね!』を見つけながら『枕草子』を読もう」としていましたが、単元計画にある「昔の人のものの見方・感じ方に『イイね!』あなたは共感できるかな。共感できないかな。」の方が、子どもに合っている。=子どもが「やりたい!」となるめあてが必要。
▲意味について話す時間をとりすぎてしまいました。子どもが言葉に敏感に反応していたのだが、細かいところまで話しすぎないように、さらっと通るべきした。音読に自然につなげる学習課題も検討します。

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