「なるほど!」を伝えよう
国語科:「なるほど!」を伝えよう 「大きな力を出す/動いて、考えて、また動く」
主張点:説明文を主体的に読みたくなるようなきっかけを作ることで,子どもたちが,自分の経験や知識と照らし合わせながら本文を読み進めることができる。さらに友達の意見との比較を行うことでより自分が興味をもった部分を明確にしながら伝えることができる。
本教材は「大きな力を出す」と「動いて、考えて、また動く」の二つの教材で構成されています。二つの説明文を読み,単元全体を通して筆者の考えについて自分がわかったことを伝えることを目的として,「なるほどを伝えよう!」という学習課題を設定しました。
これら二つの教材それぞれに,「読みたい」と思うきっかけを設け,作者の考えに自分の考えを照らし合わせながら学習意欲が継続できるようにと考えました。
「大きな力を出す」の文章を読み進める前に握力計を用い,「大きな力を出す」経験を行い,本時では,「動いて,考えて,また動く」の筆者であり,陸上男子400m日本記録保持者である高野進氏の動画を視聴しました。これは,文章の内容に関連した体験をすることや筆者そのものについて興味をもたせることで教材文を子どもたちが読みたくなるようにするためです。
しかしながら,導入時の映像に対しての反応はあまり高くなく,日本人選手がオリンピックの決勝に出るということの困難さや偉大さが子ども達にメージができていなかったように感じられました。このことは,本文を読むことの必然性に関わることなので,改めて教材との出合わせ方や発問の精査が必要だと感じさせられました。
一方で,多くの子どもたちが「高野氏の走り方」や「自分自身との経験と重ねていたこと」や「文章の構成」など幅広い範囲に対しての意見を短い時間で書き伝えていることがうかがえました。
後日,文章の構成に焦点をあてて授業を行い,次に筆者の考えが書かれているところについて押さえた上で,内容理解に進みました。
その結果,子どもたちは「初め」と「終わり」に筆者の考えが書かれている双括型の文章構成に気づき陸上競技を通して筆者が感じた「動いて,考えて,また動くに」で伝えたい思いに迫っていました。
参観者から得られた意見としては,筆者の考えや人となりについて知ることで本文が読みたくなるという視点はおもしろいとのことがありました。他にも映像教材や実物を活用することには一定の評価があったことなどから,伝え合う部分の焦点を定めることや板書やノート整理などを行うことで思考の可視化を図り,子どもたちの考えや言葉でつなぎ,意欲が継続された授業をできるよう工夫を行っていきたいと考えています。