授業・研究活動社会科

校内研「わたしたちのくらしとこれからの食料生産」

第5学年社会科「わたしたちのくらしとこれからの食料生産」
授業者:中山 和幸
指導案:こちら(PDF)

授業づくりの「しかけ」と子どもの探究
 「安い外国産,高い日本産」の写真を提示し,「どちらを買うか」と問うことで,消費者としての自分の食への関わり方を振り返らせ,消費者としてのよりよい食への関わり方を探究できるようにする。

○授業づくりの「しかけ」後の子ども
 資料提示と発問の後,子どもたちの思考は実際に自分だったら,外国産を買うのか日本産を買うのかに向かい始めた。その中で,安心・安全や値段,お得など個々の消費者としての見方・考え方を働かせた言葉が出始めた。さらに,「日本産を選ぶべきだと思うけど。主婦の立場に立つと…」といった発言があり,日本産か外国産で葛藤している様子が窺える子どもが出てきた。最後には,「日本産の安心・安全を疑う発言」も出てくるようになった。

 これらの姿は,資料提示や発問によって,個々の見方・考え方を働かせながら自身の食への関わり方を省察し,食への関わり方を再考し始めた姿であると考える。消費者として,買い物をする際には,食料自給率のことだけではなく,実際には,値段や安全のことを考え,必ずしも食料自給率アップにつながる選択をするばかりではない。むしろ,食料自給率アップにつながらない選択をする自分に気づき,自己の考えや行動を調整し始めた姿であると言える。
 そのような意味で,授業づくりの「しかけ」は子どもに,消費者としての自分の食への関わり方を振り返らせ,消費者としてのよりよい食への関わり方を探究できるようにすることに有効だったと考える。それは,子どもの生活に即した意思決定・価値判断を迫る資料であったからであると考える。

本時における教師による評価
 見方・考え方に広がりが見られ,考えが更新された場面を板書を用いて解説し,子どもの学び方を価値づけることができるようにする。

 授業の後半,生産者の立場から消費者の立場で考えるようになってから,考えが具体的になり,話し合いが活発になった。質問や反論が出て,本音が出てくるようになったことを価値づけた。
 この評価の効果は,子どもの発言やノートの記述から読み取ることができなかったが,子どもの見方・考え方に広がりが見られ,考えが更新されることを価値づけることで,子どもが見方・考え方が広がることや考えが更新される授業ができることを理想とし,そのような授業ができることに喜びを感じることができるようになると考える。今後も,このような価値づけを続けていきたい。

まとめ
 子どもが社会に実在する課題を問題と捉え,さらに自分事の問題にしていく手立てが,社会科における子どもの探究の質を高める「しかけ」と成り得る。子ども理解を深め,子どもの学びの道筋に沿った授業づくりの「しかけ」や評価を今後も考え,実践していきたい。

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