提案社会科

2017年度 社会科提案

よりよい社会の形成に参画する子ども
~地域課題の教材化に必要となる教師の視点と方法~

1.研究テーマ設定の理由
 昨年度より,社会科部の研究テーマを「よりよい社会の形成に参画する子ども」とし,そのような子どもはどのような資質・能力及び態度をもち合わせているのか,また,そのような子どもを育成するための学習過程とはどのようなものであるのかという視点に立って研究を進めた。その中で,大きな課題として残ったことが,「地域課題の教材化」である。よりよい社会の形成に参画する子どもを育成するためには,子どもたちにとって身近である地域の「ひと・もの・こと」を学習対象とし,子どもたちが対象に潜む課題を解決することに必要性を感じ,「問題」としてとらえる必要がある。  
 そこで,本年度は子どもたちが問題ととらえ,自ら問い続け,学び続ける地域の課題とは一体どのようなものなのか,また,教材化を進める上で教師はどのような視点をもつべきなのかについて探っていきたい。

2.研究仮説
 地域課題の教材化を進める上での条件を教師の教材化の視点として整理し,明らかにすることで,子どもが解決することに必要性を感じ,自ら問い続け,学び続けるであろう地域の課題を教材化することができるだろう。

3.社会科における「問い続け,学び続ける子どもたち」
仲間と協働しながら,わからないから,わからないへと学びをつなぎ,よりよい社会の形成に参画する子どもたち

3・4年生
◎生活経験や学習経験を見つめ直し,興味・関心のあることから問題を設定する。
・仲間との意見交流を通して,比較したり,分類したり,関連付けたりしながら情報を整理し,事実をとらえ考えをまとめる。
・問題解決の過程を通してできるようになったことやわかったことを見つめ直し,解決の仕方やものの見方・考え方が変化・成長したことを自覚する。

5・6年生
◎生活経験や学習経験,地域の課題等を見つめ直し,よりよい社会づくりにとって意味や価値がある解決すべき問題を設定する。
・仲間との意見交流を通して,比較したり,分類したり,関連付けたりしながら情報を整理したり,問題に沿って考えを練り直したりし,まとめる。
・問題解決の過程を通してできるようになったことやわかったことやまだわからないことを見つめ直し,解決の仕方やものの見方・考え方が変化・成長したことを自覚する。
 
4.社会科で身に付けさせたい資質・能力及び態度とものの見方・考え方
 めざす力(学びに向かう力)
・仲間との協働しながら,地域とつながり,社会の一員としてよりよい社会の形成に向けて自分(たち)のできることを考え,実践しようとする力

 つなぐ力(公正な判断力)
・仲間と協働し,多面的・多角的な視点で社会的事象をとらえ,考察しながら,意思決定や価値判断を行う力

 実感する力(社会認識)
・学びを振り返り社会とのつながりを実感し,社会的事象の価値や意味がわかる力

〈ものの見方・考え方〉
 時間的・空間的・関係的な視点で社会的事象をとらえ,とらえた事象について比較したり,関連付けたり,総合したりしながら,自分の考えを構築する。

5.研究内容
(1)地域課題を教材化する視点と方法
(2)地域課題を教材化した学習単元の開発

6.研究評価
 5.研究内容で取り組んだ授業実践の中での子どもの言葉をもとに,研究仮説の検証を行う。検証には,授業での子どもの言葉やノートの記述などの子どもの表現物を用いる。
 また,複数人の教師で本研究の内容や方法を共有し,授業実践を行った上でそれぞれの成果と課題を明らかにし,研究の汎用性・客観性について検証する。

一覧にもどる