2021理科提案
1.理科の本質
理科は,自然や科学の事物・現象についての問題を科学的に解決するために必要な資質・能力を育成する教科である。科学的に解決するために必要な資質・能力は,実証性,再現性,客観性の3つの手続きを経て裏付けされた知識や技能を駆使し真理にせまろうとする力であり,急速に変化する社会に生きる子どもにとって必要な資質・能力といえる。このような資質・能力を育成するためには,理科の見方・考え方を働かせながら自然や科学にかかわることで問題を見出したり,見通しをもって観察,実験を行い,より妥当な考えを導き出したりすることを重視した指導が必要である。
2.理科における育みたい探究力と省察性,見方・考え方
*育みたい探究力…理科の見方・考え方を働かせながら,目の前の未知の問題に対して,探究のプロセスをとおして,解決に取り組む資質・能力
*育みたい省察性…理科の見方・考え方を働かせながら,自らの学びにおいて学びの方法や道筋を調整・改善したり,学びを意味付けたり,学んだことを自己の生活や行動につなげたりする自己効力感に支えられた資質・能力
*見方・考え方…問題解決の過程において,自然の事物・現象を量的・関係的・質的・実体的・時間的・空間的な視点で捉えたり,共通性・多様性の視点で捉えたりする見方,比較,関係付け,条件制御,多面的に考えるなどといった考え方
3.理科における探究のプロセスをとおした学びのイメージ(単元)
4.自己調整を育む指導
理科における自己調整とは,自分たちが設定した学習問題を解決するために,理科の見方・考え方を働かせながら観察や実験をとおして問題解決をめざしたり,自らの学びを振り返ったり,価値付けたりすることである。理科では,様々なズレに気付き,それらのズレから観察の視点や実験方法を発想し,活動する一連の流れを「気付く・決める・動く」と定義し,この過程の充実を図る指導を行う。教師のしかけとしては,①子どもに前提・矛盾・再構成を生む単元を計画する(ズレの気付きを促す),②子どもが単元の問題を自覚できるようにする(自分が取り組んでいる学習が問題解決にズレていないかを判断する姿を促す),③子どもが知識を概念化させるために観察や実験から得た情報をつなげたり,対話によって得た情報をつなげたりする場を設定する(知識をつなげる姿を促す),④学びを振り返り,自己の学びを価値付けたり,学んだことを実生活につなげたりする時間の設定と質の高い振り返りに対する明示的指導及び価値付けを行う(自己効力感の育成を促す・学んだことを自己の生活や行動につなげたりすることを促す)。
このような教師のしかけにより,子どもは自らズレに立ち止まり,自分たちの学びを俯瞰的にとらえて活動を調整する(主体や協働につながる)姿,知識をつなげて問題に対する自分なりの解を導こうとする(活用につながる)姿が見られるようになるだろう。
5.研究の評価
研究内容で取り組んだ授業実践の中での子どもの言葉をもとに,研究の成果と課題を明らかにしていく。その際に授業での子どもの言葉やノートの記述などの子どもの表現物を用いて研究の質的評価を行う。また,年に3回,アンケート調査を行い,アンケート結果による量的評価も行う。