授業・研究活動理科

4C公開授業研究会振り返り

●授業の概要
 授業の概要は,こちらに掲載しています。

●授業記録より
 本時において,子どもたちの思いが「電池がなくなる」ことに集中し,電流によりモーターの回る速さに違いが出ることについて,イメージ図に表したものではなかった。子どもの思いからすると,モーターが早く回ることへの思いは,結果として得られたため十分で,その先にある電池の消耗に向いていたことを,早い段階でみとって扱うべきだったと反省する。
 ただし,電流の強さについて焦点化して,子どもたちに立ち止まって考えさせられる瞬間があった。それは,以下の場面である。

中西:まだ話し足りない?じゃあ,長野くんのイメージ図で話をしよう。どうぞ。
長野:えっと,この緑色が…電子ちゃんの普通の状態。ぐるぐる回っていると,黄色くなって…。またぐるぐる回ってる。赤くなって…。こんな風に,(電子ちゃんが)3つ一緒になって同時に通るから強く,速くなる。※1
佐賀:なんで3個同時に?
長野:一緒になると,(扇風機を回せる)確率が高くなる。だから3匹一緒になる。
香川:扇風機のところに疲れたってて書いてる。
奈良:使われた※2やで!

 長野くんは,※1で強く,早くなることに触れている。それについて質問が出て答えているが,次の香川くんの発言を止め,3匹一緒に扇風機を回す意味を全員が共有できているのか確かめる必要があったと考える。
 もしくは,すでにこの段階で※2の「使われた」が出されたため,その言葉を受けて電池が使われてしまうという課題に転換してもよかったかと考える。こどもの言葉でつくれたはずの授業を逃した可能性は高い。
 今後は,休憩時間を含む子どもたちの対象への関わりやつぶやきからどんな思い(不思議・知りたい・なぜ?)をもって授業に臨んでいるのか丁寧にみとるようにしたい。そして,そんな課題を解決するような授業展開を意識しなければならない。

●研究協議より
 ~課題~
・3色の電子ちゃんを扱ったため,子どもによって設定が様々になり,話がわかりにくかった。色の違いによる状態の設定を丁寧にするべきだった。(固定するなど)
・ホワイトボードに示されている「電子ちゃんの部屋」には,電子ちゃんが提示用にたくさん入っていた。決められた8匹を入れておくべき。
・8匹とされていた電子ちゃんを全部使っていない子どもがいた。
・電池がなくなるという時間の経過を表すのであれば,1枚のイメージ図では難しい。
・「仕事」という言葉が曖昧。電気を運ぶ役割だったり,電子ちゃん自身がモーターに作用することだったりするなど,子どもたちのイメージ図の中で,電子ちゃんお扱いがバラバラなので,話をしにくい。
・上記に関連し,課題の設定に問題がある。「早くなるなるのはなぜ?」のように問いかけてイメージ図をかかせるほうがよかったのではないか。
・イメージ図にストーリー性をもたせすぎていた。
・乾電池1本の場合と比べて,違いを明確にするべきだった。
・考察するためのデータが少ない。事実の重さを認識させ,それをイメージ図に表せるようにしなければならない。

 ~成果~
・擬人化をすることで,子どもらしい着想でストーリーができていた。
・電子ちゃんというキャラクターを大切にしていたことから,電子ちゃんの話を中心にできた。
・電池がなくなっていくことを,全員が共有していた。また,その考えに多くの子どもが寄り添っていた。
・擬人化は,物理の世界でも多く扱われる。比喩表現により頭を柔らかくして考察をしている。
・前に立って話す子どもに対して,集中しながら目線を送って全員が聞いている。

 ~その他~
・深く対象に向けて主体的に学ぼうとする瞬間は,他者と「平等」であるということが必要。わからないから,みんながペラペラしゃべる,わからないと言う,質問をすることに深い学びがある。
・「書いて,しゃべる」ことで説明する責任が生じる。本時のように一人がしゃべり,大勢に質問されるというのは,なかなか厳しいやり取りである。
・導線2本でつないだり,4Cつなぎを試したり,4Cつなぎに乾電池をさらに足したりするなど,多くのデータを得るのも良い。
・電気は姿を変えて現れることがほとんど。その多様性から見えない電気について話すような…。
・「自然がこう言っているから,僕は,○○のイメージ図をかいて,△△のように考えるんだ。」という話がしたい。…指導助言のなかで,一番心に残った言葉である。「自然がこう言っているから」結果を大切にして考察できる子どもを育てたい。

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