授業・研究活動生活科

第1学年生活科「土を使って遊ぼう」

校内研振り返り
教科等:第1学年生活科「土を使って遊ぼう」
授業者:田中伸一
指導案:こちら(PDF)

1.授業づくりの「しかけ」と子どもの探究
(1)本時における授業づくりの「しかけ」
 2回目の土遊びで,自分の思い通りの形作りや遊びを楽しむことができているか,実際に土遊びを楽しむ中で考え,工夫し,予想を試す。試してできたこと・思いがけずうまくいったこと・困ったことを共有することを通して,自分が選んだ遊びにはどの土が適しているかに目を向けることを目的とした。

(2)本時の子どもたちの様子
●築山での川作り①

K:硬っ!なんでこんなに硬いん?

  や!や!(スコップを築山に刺しながら)

  近くの友達が水で湿らせて柔らかくする。

R:ここ柔らかくなったで。

K:水で濡らして掘ったら,掘れるようになる。

図1:水をかけて掘りやすくする

 Kは築山で,川作りがしたいと思っていた。実際に築山の土を掘ると,土が硬いということに気付き,掘れないという問題に直面した。築山は硬めで粘土質な土である。スコップを使ってもあまり掘ることができない。Kは近くでやってるRの様子を見て,水を含ませる方法を試してみた。試してみると,水分を含ませることにより,この築山の土も掘りやすくなることに気付いた。

●築山での川作り②
(掘りやすくなるように,水を流す)
R: 水は下にバーンって行く。水は上から始まるんやで。それが川や。
(水が流れた後を上から掘り進める)

K:なんか石が突っ込んでる。
(川のコース上に石が埋まっていた)
R:分かれ道作った方がいいかも。

C:じゃあ,俺ら下に沼作っとくからさ。

C:水流すで。
(一気に水を流すと,斜面を勢いよく流れる)
C:池壊れてしまった。

図2:上から下に川作りをする

 Rは水分を含ませたとき,水があふれ,下の方に流れ出ることを発見し,「水は上から下に流れていく。」と言った。その後,川のコース作りを上から下に掘り進める。途中,木の枝や石にぶつかり,コースを変えながら支流となる川もできた。築山の土は水分を含むと硬くなり,形を作ることができる。そこで,川の水が流れつく下流に池を作ろうとした。池の周りに土で壁を作り,流れてくる水を受け止め,貯めることができるようにした。しかし,思いのほか斜面を流れる水の量や勢いはすごく,川を作るための堤防は水があふれ壊れてしまった。教室に戻ってからの共有場面では,Rが「築山は坂だから。川の下で,池の壁が水で壊れてしまった。たぶん,壁の高さが足りなかった。」とRは築山の地形が坂になっていて,予想以上に水が勢いよく流れていくことに気付いた。

●砂場での川作り
 Tは砂場での川作りに取り組む。砂場は掘りやすいためコース作りは順調に進む。コースは曲線を用いたり,複雑な形となった。出来上がり,いざ水を流そうとすると水を流すも,すぐにしみこんでしまい,川にならない。
 そこで「深さが足りないのかもしれない」と考え,もう少し掘ってから水を流すも,すぐにしみ込んでしまったことをみんなに話した。

図3:砂場での川作り

(3)共有の場において
G:最初に水入れたら,先に土に染みてしまって…
  掘ってからも(水を流しても)無理やった。
教師:Gさんは,どうしたかったの。
G:川だから水が染み込まないようにしたい。
 川作りという遊びが同じでも,場所によって,水を吸収しにくく,水を流し込むと染み込みにくい土の場所(築山)と,水を吸収しやすい土の場所(砂場)についての違いが分かる取り組み結果となった。

2.本時における子どもの評価活動(子どもたちの振り返り)
<築山>
 ・土は硬い。水をかけると掘れた。土に水をかけたら頑丈になった。
 ・土に水を入れると,水がこぼれた。
 ・川に水を流すと水が早く流れて止まらなくなった。次も築山で続きがしたい。
<運動場>
 ・水を入れると,染みこんでしまった。次は,築山で川作りがした。
  子どもたちは,遊んだ場所の土の様子についてたくさん発見することができた。

3.まとめ 
 今回の土遊びは2回目であった。1回目より,それぞれの場所の土には,粒大きさや混ざっているもの,色や手触りなどの違いに加え,その土がある環境にも目を向けるようになった。
 協議では「子どもたちは○○遊びをするために必要な気付きが出ていたので,教師が○○遊びには,~の土が適しているということに目を向けさせる必要があった。」と指摘いただいた。予定では,後2回土遊びを繰り返し行う。同じ遊びを違う場所で行う経験もしながら,○○遊びを行うために適しているおすすめの場所を見つけられるよう取り組んでいく。
 今後も,子どもたちが何度も繰り返し関わり,試行錯誤をしながら取り組める授業作りをめざしたい。

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