音楽科授業・研究活動

校内研究授業振り返り

授業の振り返り
1年B組居澤結美
〇子どもの言葉
 拍をゆっくりした「さんぽ」を聴いた後で,「ある動物さんのさんぽですが,なんでしょう」と投げかけました。授業者は,最近読み聞かせで出てくる“なまけもの”か“ぞう”と考えていたのですが,子どもたちからは「かめ・きりん・おじいさんなど」のゆっくりした動きのイメージがたくさん出てきました。ここで,教師は次に進めたい思いが強く,すぐに「どれもゆっくりした感じってみんな思っているのかな」とそれらすべてを「ゆっくり」という言葉で片付けてしまいました。

 しかし,子どもたちから出た「かめ」・「きりん」などに対して「どうしてその動物なの?」と聞き返し,動作化のきっかけをつかめば,拍の流れを意識した発言が出たのではないかと考えました。
 また,以前の標準の「さんぽ」と本時の「なまけものさんのさんぽ」を比べてみるとどうかをたずねると,「(なまけものさんのさんぽは)切れてるみたい」と感じた子どもがいました。これは,実際に切れているのではなく,「あ~~る~~こ~~・・・」と手拍子を打ったり,歌ったりすると遅すぎて切れてしまっているように聴こえた,もしくは感じたためです。指導助言の菅先生から,“ここで,もし「切れているの?」や「それなら切れているか,たしかめてみようか」などと返し,いっしょに手拍子をしてみると,実際は切れているのではなく,ゆっくりとした拍の流れを感じることができたのではないか”とご指摘をいただきました。

 本実践の主張点「自分や友だちと身体を使って拍の流れを考えたり,見合ったりする活動を通して,拍を体得することを知り,これからの授業に生かすことができるであろう。」という“身体を使って”という部分を,教師は子どもたちが自由に動くといった意味だけで思い浮かべていました。手拍子や様々な教師からの投げかけた身体表現も手立てになることを考えていませんでした。
 主張点にせまることができる「子どもたちの言葉」を,教師がうまく返していないということが一番の反省点です。そのためには,子どもたちがもっともっと身体表現を楽しく,思い切り行え,子どもたち同士が声を出し合える,展開を考えていくことが大切だと考えました。
 今後,身体表現を中心にして,子どもたちがそれを通して,自分の表現を言語化できるようにしていきたいと考ています。

 この単元の最後は「かたつむり」を拍の流れにのり,身体表現を用いて歌いました。「つのだせ,やりだせ,あたま~だせ」のところをそれぞれ思い思いの振りをつけながら,表現していました。子どもたちで10人ずつ見せ合うと,子どもたちは拍の流れにのっている振りをしている子について…
C:〇〇くんのがいいと思います。
T:どうしていいと思うの?
C:楽しそうだから。
T:楽しそう?
C:だって音楽と合ってるもん。やり出せのとことか。
T:みんなでいっしょにやってみる?
C:やりたい!
C:ほんまや,楽しい!もう一回したい。
 この楽しそうや楽しいは,「拍の流れにのっている」からこその楽しさがあります。この感覚を体得しながら,言語につなげていきたいと思います。そのためには,今は身体表現を思い切りして,拍の流れにのる楽しさや感覚を身に付けていくことが必要だと考えました。

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