授業・研究活動複式教育

複式研34F授業者の振り返り

「くらべて読み,分かったことや考えたことを家族に伝えよう」
~第3学年「ちいちゃんのかげおくり」・第4学年「一つの花」~

C1「かげおくりをした広い空を見方にして考えたんやけど,楽しいところから怖いところへ変わった。」
記録「どこからわかったん?」
C1「P.16,L.9,10から」
C2「ちいちゃんの気もちを見方にしたら,楽しいから不安に変わった…」
C3「え?それだけじゃないと思う。だって,最後にお母さんに出会えたやん。ハッピーからバッドで最後ハッピーてことを言いたかったん?」

 これは,本時の3年生の学び合いの一部です。「物語の中で変わったことと変わらなかったことを見つける」という課題で,「空」「ちいちゃんの気もち」に目をつけて考えたことが分かります。私が驚いた発言がC4「ちいちゃんの足で見つけたんやけど,『かた足をあげた』とかはじめは疲れていないけど,最後らへんで『ふらふらする足を』て書いてるから,ちいちゃんは疲れていないから疲れたに変わった。」です。

ちいちゃんの体調の変化を足で捉えるとは思ってもみませんでした。また,変わらなかったことについても「ちいちゃんはずっとお母さんを待ってた。」「信じてたから。」という発言がありました。
 4年生も同じ課題で学び合いました。変わったことは「ゆみこの口ぐせ」「食べ物」「ゆみこの性格」「町の様子」「コスモス」「お母さんの気もち」などを見つけ,変わらなかったことには「ゆみこの気もち」「お父さんの気もち」が出ました。そして変わらなかったことに「幸せを続けたかったこと」があるとまとめていました。

 この単元の主な指導事項は,①登場人物の気もちの変化を捉えること,②自分の考えを形成することです。そして私がこの教材で子どもたちに気付き考えてもらいたいことは,平和への願いと家族に対する思いでした。変わったことと変わらなかったことを見つけることで,心情の変化にも気付け,戦争から平和への移り変わりも分かります。また,子ども独自の視点で自由に見つけることができます。この課題は国語科のみならず,様々な教科で汎用できるものです。今後も汎用的な課題について考え,それが子どもの見方・考え方の一つになるように研究を深めていきたいと思いました。

 協議会では「もっと練り合いの時間を確保する方がよかったのではないか」という意見をいただきました。これまでの私であればそうしていたかもしれません。しかし,本時は子どもたちが言葉にこだわり,拡散的に見つけることを重要視しました。そして,次時でそれを活用し,変わったことと変わらなかったことに込めた作者の思いを考えるようにしました。本年度は発達の段階を視野に入れたしかけを研究テーマとしているので,時間をたっぷりかけることが今の子どもたちに合っていると考え,あえて時間を分けました。次時では,両学年とも「戦争のこわさ」と「家族を信じる心」,「家族を大切にする気持ち」があると子どもたちは気付くことができました。今後も子どもを見とりながら目の前にいる子どもに合った課題と時間で展開を考えていこうと思います。

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