授業・研究活動算数科

 変わり方 ~自分のベストアンサーは?!~

算数 松本 都望

1.ベストアンサーを見つける!

 「算数は答えが1つしかない。」そんな子供たちの当たり前の感覚を変えたいと思い,この単元を考えました。算数で学んだことを使えば,日常の問題を解決するたくさんの選択肢が見つかります。その選択肢の中から,子供自身が算数を根拠として自分に合った答えを選ぶことができたとき,算数の本質を理解できたと言えるのではないかと考えています。また,本当に算数と日常をつなげた実践といえるのではないかと考えています。

 ここでは,昨年度実践した4年生「変わり方」の単元について,ベストアンサーを見つけていく単元を紹介させていただきます。子供に「変わり方で学んだことは,日常生活の中で生かせるかもしれない!」と実感して欲しいという思いから単元を計画しました。

2.授業のしかけ

 単元を通して,ベストアンサーを見つけるためのしかけを次のように考えました。
 具体的な場面において2つの数量の関係を見いだし,表や式を用いて変化や対応の特徴を考察した後,問題解決をする場面(しかけ)を設けます。

3.具体的な場面と問題解決場面

 具体的な場面を『20枚の網を使って,長方形と正方形の犬の柵を作ろう!』としました。子供たちは,試行錯誤しながら縦の枚数と横の枚数の数量関係を見いだし,このように表にまとめました。

 具体的な場面で2つの数量の関係を見出す際に気をつけたことは,「自分のベストアンサー」を導き出すために,20枚の網を使って作ることができるすべての柵のパターンを調べるということでした。そうすることで,子供たちはたくさんのパターンを見つけ,ホワイトボードの好きな場所であらゆるパターンを書いて説明し始めました。ホワイトボードを眺めながら,「バラバラに書くとわかりにくいから,パターンを整理したい!見やすくするためには,表を使うとわかりやすい!」ということに気付きました。教師から「表に整理しよう!」というのではなく,「すべてのパターンを整理するために表を使いたい!」という気持ちを子供から引き出すことができました。ここからが問題解決をする場面です。

 問題解決をする場面を『ベストな柵を決めよう!』としました。みんなで作った表の中から,どの柵を作るのがベストアンサーか,話し合いを始めました。具体的な場面でしっかりイメージができているからこそ,豊かな表現でベストアンサーを考えていく姿が見られました。「犬の体長はどれくらいかな?パターンごとに柵の面積が違うからどんな大きさの犬を飼うかによるよ。先生の飼っている犬は大きいから,5(縦)×5(横)の一番面積が大きくなる柵がいいんじゃない?」「走るのが好きな犬だったら,横長の長方形がいいよ。1(縦)×9(横)のパターンなら,9メートルは走れる。」「うちのおじいちゃんの家の犬は,いつもくるくる回ってるんよ。犬ってくるくる回るのが好きだから,正方形の5(縦)×5(横)柵がいいと思うな。」

柵に見立てた画用紙を用いて,友達のベストアンサーを聞く場面

4.成果

 子供の姿から,具体的な場面において,表を用いて変化の様子を表したり,変化の特徴を読み取ったりすることができました。また,単元を通して問題解決をする場面を設定することで「変わり方」と子どもの日常とをつなげることができました。「変わり方で学んだことを使えば,日常生活の中で生かすことができるかもしれない!」という経験の一つになってのではないかと考えています。

 子供の「なんで?」と「わからん」を大切に,友だちと考えたくなる算数の授業づくりをしています。

#変わり方,問題解決

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