授業・研究活動算数科

繰り上がりのあるたし算

算数科 芝崎 円

 1年生の算数といえば「繰り上がりのあるたし算」「繰り下がりのあるひき算」ではないでしょうか。本稿では「繰り上がりのあるたし算」の実践を紹介します。

1.10のまとまりを作る 〜8+3の問題〜

 10台停められる駐車場に8台の車が停まっており,後から3台の車がやって来るという問題について,まず挿絵を見てどんな式になるか考えました。次に数図ブロックで計算の仕方を確かめたところ,「8+2は10だから,あと1を足して11になる。」「3台のうちの2台を先に足して10,あとの1台を足して11になる。」等,10のまとまりに目をつけて計算する様子が見られました。8+5,8+6の問題では,8から9,10,11,12と数図ブロックを動かして数え足したり,8を5と3に分ける・6を5と1に分けるなど5に目をつけたりして計算する様子も見られました。いわゆる“さくらんぼ計算”の指導をせず,子供たちがどのような計算の仕方をしたのかに着目しました。(図1)

図1 数図ブロックの置き方を書き表している

2.どうして10のまとまりを作るのか

 第2時,第3時と進むにつれ,計算するスピードに 差が出てきました。数字カードを用いてペアで9+□の計算をする際,速く計算できている子供にどのように計算しているのか聞いたところ,「後ろの数を1つ小さい数にして,10とその数で計算しました。」と返ってきました。同じように計算しているか聞いたところ,半数近くが手を挙げ,10のまとまりを作ることで速く計算できることに気付いたようです。念頭で計算していると答えた子供もいました。指で数えている子供もまだまだいる中で,10のまとまりを作る良さに気づき,8+□では後ろの数を2つ小さい数にする,7+□では3つ小さい数にすることまで気付き,計算している子供も見られました。中には,「みんなと違うやり方をしたい。」という思いから数図ブロックの置き方に工夫を凝らす子供もいました。

 しかし,「計算の仕方がわかりにくい。」「この計算の仕方と似ているんじゃない。」という意見が出たことから,自分の計算の仕方を考え直す姿が見られました。

3.被加数が5以下では~加数分解か被加数分解か~

 第4時では,被加数が5以下(例えば4+8のような問題)が出てきました。10のまとまりを作るため,今まで通りであれば加数分解をすることになります。

 しかし,10のまとまりを作って計算しているほとんどの子供が被加数を分解し,10のまとまりを作って計算している様子が見られました。場面に応じて使い分けるまでいかなくとも,本単元目標に『計算が確実にできるようにする』と掲げていることから,子供自身が10のまとまりを作る良さに気づき,計算できるよう指導にあたりました。

 算数科を研究しています。基礎・基本を大切に,1年生でも自分の考えや思いを伝え合うことを大切に,授業づくりをしています。

#繰り上がりのあるたし算,10のまとまり

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