授業・研究活動授業・研究活動複式教育国語科

お話すごろくをつくろう

国語科 平井 千恵

 「すごろく作り?」と思われたかもしれません。すごろくを作るために,何が必要だと思いますか?

 本単元では「めあて」に向かって自ら何度も教科書と向き合い,協働する中で語彙を広げたり,物事を論理的に解釈したり,他者と対話をしたりするという姿を引き出そうと考えました。そのため,「教科書を読みましょう。」「〇ページを開きましょう。」と指示して読ませるのではなく,子供が自ら「教科書を見よう。」「〇ページにあるで。」と教科書を読み,他者に働きかけるような環境を設定しました。それが「すごろく作り」です。

 前述のように本単元では,全員が同じ時間に同じように音読をする活動は設定していません。教師の範読が一回と宿題,そして授業時間に子供が自ら読むのみです。少なすぎるという思いをもたれるでしょうが,必要であれば何度も読み返すという学習活動そのものが,生徒エージェンシーの発揮につながっていくと考え,あえて働きかけはしませんでした。

 まず,すごろくのマスを作ります。子供は,教科書を見ながらマスを作っていきました。マスを作る中で2年生は「すみれちゃん,歌,何回歌ってたっけ?」「2回歌ってるからこっちの歌は…」と同じ行動でもどの場面のことかを話し合って順番を決めていました。

 1年生も2年生を見ながら一つずつ行動を書き出し,何度も教科書を見て,順番を確かめていました。順番を確かめ,スタートからゴールまでマスを並べ,マスを完成させました。登場人物の行動や場面の順序も整理し,話の内容の大体を捉えることができていました。

 次は,すごろくの醍醐味ともいえるお題作りです。この活動では「1マスすすむ」「2マスすすむ」「1回休み」というお題を「悲しい」と「嬉しい」という心情に注目して考えるという課題で取り組み,登場人物の行動から心情を捉えることを目標としました。ここではしかけとして,1回しか使えないという条件を提示しました。この条件を提示することで,子供は一人一人が考えたマスについて対話をしながら最適解を考えることになります。1年生の話を聞いていると「これはたぬきがテーマの話だから,たぬきがわなにかかったところが1回休みだと思う。」「それも分かるけど,おかみさんはいたずらされたら悲しいやん?だからここも1回休みだと思う。」と「たぬき視点」と「おかみさん視点」で心情を捉えていました。

 2年生は「すみれちゃんが歌を歌っているところは,2年生になってすごく嬉しいと思う。」「でも,最後の2人で笑うのは,妹が落書きしたけどそれを可愛いって思えるお姉さんになったから嬉しいんだと思う。」と題名に迫る意見を出し「ああ!そうや。」「すごい!」とすみれちゃんとかりんちゃんの関係に気付き,2人で笑った場面を「2マスすすむ」に決めていました。(※写真ではお題の紙を貼り間違えて3マスになりました。)

 その後「○○になって一言」というお題も考え,絵を描いてすごろくを完成させました。1年生と2年生が,互いのすごろくを見合う中で,それぞれの物語の共通点「どちらも最後は笑顔」「マイナスからプラスになる構造」など,物語の特徴に気付くとともに,互いのすごろくの良さも認め合っていました。

 また「他のクラスの子にもやってほしい!」と,すごろくをおもちゃランドにも設置し,他クラスの子供にも楽しんでもらいました。

 主体的な学びをどのように作っていくか,複式学級の学びは単式学級の学びにも通じます。主体的な学びにつながる授業づくりや国語科授業について共に研究しませんか?

#すごろく,子供が自ら読む,エージェンシー

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