●主張点
異学年が協力してプランクトンを観察する活動を通し,各学年の課題に応じた生物どうしのつながりについての考えをもつようになる。
●振り返り
5年生は,「メダカの食べ物が水中にあるのか?」という課題に取り組んだ。予想をノートに書き,全員が発表(写真①)した。子どもたちはすでにメダカのすむ環境について少し調べていたため,相手の予想に深く触れることや疑問をもつことはなかった。

[写真①]
そこで,メダカがいた川といなかった川の様子を発表させて,メダカがいない川でも食べる物らしきものがあることや,その反対についても示すことで,次の時間の課題にもあるすみかとなる条件にも課題意識を向けさせようとした。(写真②)

[写真②]
子どもたちは,木の葉もメダカの食べ物だと考えていたようで,校内にある池の枯れ葉を持って来ようということになった。しかし,話がまとまっておらず,池の付近にあった緑葉を採集して来てしまうなどのハプニングがあった。しかし,授業記録を見てみると,子どもたちにメダカがいた川の水を示したのは教師であり,それによって子どもたちで取り組もうとしていた学習の流れを遮ってしまった可能性があると考えた。写真③では,教師が用意した川の水を見ている。

[写真③]
「メダカがいた川の水」という情報が必要だと考えていたが,子どもたちの思考は,校内にある池にも食べ物があるという考えがあったようだ。子どもたちの思考を 「メダカがいた川の水」に戻してやる必要があった。
観察では,初めての顕微鏡だったが,6年生に教えてもらいながら観察することができた。しかし,6年生が観察するミジンコ(水田の土に水を加えて育てたもの)と,5年生が観察したい水中にいるミジンコは,発生場所が違うものであり,観察の条件を整えることができなかったと反省している。
また,本校の複式・理科を担当されていた辻本先生からは,「この異学年が一緒に観察することは,本時の目標に照らしたとき,果たして必要だったのか?」とのお言葉をいただき,今後,異学年交流の在り方を改めて考え直す必要がある。
6年生は,食物連鎖について下調べしていたことを発表してまとめようという授業だった。子どもたちのほとんどは,自主学習での調べが充実しており,それを改めてミニボードにまとめるという作業を始めた。6年生は,目的意識をもたずに発表方法を選択することが時々あるので,ミニボードの使用に際しては,「文字情報が多くならないように」と声かけをしたが,結果は写真④のようである。

[写真④]
何のためにミニボードに書くのか,持っている情報をまとめるには,どのような発表方法やまとめ方が適切なのか,今後の指導で考えさせたい。
発表では,「食物連鎖をたどると,たどりつくところは植物だ。」となっている内容もあった。そこで,子どものノートにあった「ミジンコが植物プランクトンを食べる」ということに注目(写真⑤)させた。

[写真⑤]
昨年度の観察で,ミジンコが植物プランクトンを食べていたか思い出させたところ,そんな様子はなかったということで,改めてミジンコを観察して確認することにした。
ここに先ほどの5年生の子どもたちが合流し,顕微鏡の使い方を教えながら観察した。6年生は,写真⑥のように自分たちの学習を中断してまでも一生懸命に5年生に教えていた。

[写真⑥]
このように見ると,6年生の子どもたちの主体的な学びに,教師がどかどかと足を踏み入れ,挙句の果てには,教師から与えられた課題を解決しようとじっくりと取り組むこともできないままで授業が流れてしまった。
異学年の交流は,自分たちの学びを成立させた上で子どもたちから発生するものである必要があると感じた。そして,異学年での学び合いが子どもたちから発生するような単元計画や学習課題を設定する必要があると考えた。