和歌山大学教育学部附属小学校
 

社会

研究内容-社会
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2020/07/20

校内研「天皇を中心とした政治」

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第6学年社会科「天皇を中心とした政治」
授業者:西川 恭矢
指導案:こちら(PDF)

授業づくりの「しかけ」と子どもの探究
◎本時における授業づくりの「しかけ」
 本時では以下に挙げる2点を主なしかけとして用いた。どちらも子どもの思考を可視化し,対話を活性化させることを目的とした。

①スケール図の活用
 スケール図を活用することで「○○という思いも分かるけど,やっぱり□□が大切だと思う。」等の子どもの多角的な立場からの思考を表現させることができる。さまざまな立場から歴史的事象を捉えられるようにする。

    スケール図で考えの違いを可視化

②明確な違いがある資料をもとにした対話
 子どもに読み取らせる資料には,それぞれ明確な「違い」を設定する。この「違い」(ズレ)が子どもの伝える必然性,聞く必然性になると考える。考えの違う他者と対話する場面を設定することで省察性を働かせながら学習に取り組めるようにする。

◎本時における教師による評価
 本時は,以下の流れで授業を展開した。

①学習問題を設定する
②学習問題に対する考えを書いて交流する
③用意された資料を個人で読み取る
④各グループで学習問題に対する答えを考える
⑤全体で交流する

⑥学習問題に対する考えを書く
 
協議会より
「各グループで意見をまとめる必要はなかったのではないか」という意見が出された。授業者としても,今回のように絶対解がない問いを,ひとつの考えにまとめる必要性については悩んだところではある。しかし,グループで考えをひとつにするという活動が「自分の思いを伝えたら終わり」ではなく「あの子の意見も聞きたい」という対話の必然性を生むと考えた。今回はこのようなしかけが効果的であったと考える。

 子どもの対話を授業の中核に位置付けた場合,学びのコーディネーターとしての教師の役割はより重要になってくる。歴史の授業である以上,過去に実際にあったことを否定的に捉えるだけでは授業の目標を達成したとは言えない。今回の場合,「聖武天皇は民衆の思いを無視して大仏を造った」という一面的な理解に留まるのではなく「確かに民衆の思いは反映されていない部分はあったかもしれないが,ではどのような対策ができたのか?聖武天皇が仏教の力によって国を治めようとしたことも大切な歴史の1ページであって,このような事実からこれからの時代をどうしていくべきか考えていかなければならい。」のように多角的な立場から考えさせる必要がある。民衆の立場の資料を担当した子どもは,大仏づくりを否定的な側面のみで捉える割合が多かった。これは,聖武天皇や行基に比べ,民衆と自分をつなげて考えやすく「自分事」にすることが容易であるためと考えられる。全体で話し合う場面でもH児やJ児のように民衆の立場に立って考えてはいるものの,大仏づくりが民衆に与えた影響を肯定的に捉えている子どもの発言をいかに生かすことができるか。一面的な見方しかできていない子どもを「立ち止まらせる時間」をいかにしてつくっていくかを考えていく必要がある。
 そのためには,授業前や授業の中で子どもの学びを想定したり,みとったりする力を高めていく必要がある。教師がどのように指導するかではなく,子どもがどのように学ぶかに視点を置いた授業研究を進めていきたい。

21:43 | 投票する | 投票数(2) | コメント(0) | 授業・研究活動
2020/07/17

校内研「わたしたちのくらしとこれからの食料生産」

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第5学年社会科「わたしたちのくらしとこれからの食料生産」
授業者:中山 和幸
指導案:こちら(PDF)

授業づくりの「しかけ」と子どもの探究
 「安い外国産,高い日本産」の写真を提示し,「どちらを買うか」と問うことで,消費者としての自分の食への関わり方を振り返らせ,消費者としてのよりよい食への関わり方を探究できるようにする。

○授業づくりの「しかけ」後の子ども
 資料提示と発問の後,子どもたちの思考は実際に自分だったら,外国産を買うのか日本産を買うのかに向かい始めた。その中で,安心・安全や値段,お得など個々の消費者としての見方・考え方を働かせた言葉が出始めた。さらに,「日本産を選ぶべきだと思うけど。主婦の立場に立つと…」といった発言があり,日本産か外国産で葛藤している様子が窺える子どもが出てきた。最後には,「日本産の安心・安全を疑う発言」も出てくるようになった。

 これらの姿は,資料提示や発問によって,個々の見方・考え方を働かせながら自身の食への関わり方を省察し,食への関わり方を再考し始めた姿であると考える。消費者として,買い物をする際には,食料自給率のことだけではなく,実際には,値段や安全のことを考え,必ずしも食料自給率アップにつながる選択をするばかりではない。むしろ,食料自給率アップにつながらない選択をする自分に気づき,自己の考えや行動を調整し始めた姿であると言える。
 そのような意味で,授業づくりの「しかけ」は子どもに,消費者としての自分の食への関わり方を振り返らせ,消費者としてのよりよい食への関わり方を探究できるようにすることに有効だったと考える。それは,子どもの生活に即した意思決定・価値判断を迫る資料であったからであると考える。


本時における教師による評価
 見方・考え方に広がりが見られ,考えが更新された場面を板書を用いて解説し,子どもの学び方を価値づけることができるようにする。

 授業の後半,生産者の立場から消費者の立場で考えるようになってから,考えが具体的になり,話し合いが活発になった。質問や反論が出て,本音が出てくるようになったことを価値づけた。
 この評価の効果は,子どもの発言やノートの記述から読み取ることができなかったが,子どもの見方・考え方に広がりが見られ,考えが更新されることを価値づけることで,子どもが見方・考え方が広がることや考えが更新される授業ができることを理想とし,そのような授業ができることに喜びを感じることができるようになると考える。今後も,このような価値づけを続けていきたい。


まとめ
 子どもが社会に実在する課題を問題と捉え,さらに自分事の問題にしていく手立てが,社会科における子どもの探究の質を高める「しかけ」と成り得る。子ども理解を深め,子どもの学びの道筋に沿った授業づくりの「しかけ」や評価を今後も考え,実践していきたい。

22:01 | 投票する | 投票数(1) | コメント(0) | 授業・研究活動
2020/06/21

2020社会科提案

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1.社会科における育みたい探究力と省察性,見方・考え方
(1)社会科における育みたい探究力
社会的事象の見方・考え方を働かせながら,目の前の未知の問題に対して,探究のプロセスをとおして,解決に取り組む資質・能力
(2)社会科における育みたい省察性
 社会的事象の見方・考え方を働かせながら,自らの学びにおいて学びの方法や道筋を調整・改善したり,学びを意味づけたり,学んだことを自己の生活や行動につなげたりする自己効力感に支えられた資質・能力
(3)社会科における見方・考え方
 社会的事象を位置や空間的な広がり(地理的),時期や時間の経過(歴史的),事象や人々の相互関係(関係的)の視点で捉え,問題解決に必要な情報を比較・分類したり,総合したりして,地域の人々や国民生活と関連付けて考えること

2.社会科における探究のプロセスをとおした学びのイメージ(単元)


3.探究力と省察性を育む指導
 よりよい社会の形成に参画する資質・能力を育成するためには,実社会の問題の解決に向けて社会的事象の見方・考え方を働かせながら問題解決を進める「探究力」と自らの問題解決を調整・改善したり,学んだことを実社会・実生活とつなげたりする「省察性」を育む必要がある。そのためには,本校が掲げている「探究する子どもの4つの姿(主体・協働・活用・省察)」を具現化できるような授業づくりの「しかけ」を行うことが大切である。今年度は,以下の6つを重視した「しかけ」を行う。

全文PDFはこちら
20:58 | 投票する | 投票数(0) | コメント(0) | 提案
2019/06/27

わたしたちの住んでいるところ

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 本時の学習は,まちたんけんや地図づくりをとおして,まちの具体を見てきた子どもたちが,岩出市の子どもたちに紹介するガイドマップの表紙を考えることをとおして,和歌山市を俯瞰的に捉え直す時間でした。

 「にぎやか」「しずか」「変化」という視点を出し,和歌山市の捉えを再構成していった子どもたちでしたが,説明の際に抽象的な言葉と具体とを結び付けて話すことができる子どもが少なかったことが課題として残りました。地図や写真など具体的なものを根拠に説明させることで,より具体と抽象が結びつく授業になったのではないかと考えています。
 また,学習問題を「ガイドマップの表紙にぴったり合う言葉を探そう」ではなく,「ぴったりの表紙をつくろう」とすることで,子どもたちは写真や絵のような具体物をもとに互いの考えのズレに気づきながら,交流することができ,和歌山市を俯瞰的に捉え直すことができたのではないかと考えました。


●この授業の指導案

19:43 | 投票する | 投票数(1) | コメント(0) | 授業・研究活動
2019/05/28

社会科提案2019

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1.社会科の本質

 社会科は社会認識を通して,公民的資質を育成する教科である。公民的資質の育成は社会科の究極の目標であり,国際社会に生きる民主的で平和的な国家・社会の形成者として必要な資質・能力とも言える。このような資質・能力を育成するためには,広い視野から地域社会や我が国の国土に対する理解を一層深め,国際社会で主体的に生きていくための基盤となる知を生み出すことや我が国の歴史や文化を大切にしながら,持続可能な社会の実現に向けてよりよい社会の形成に参画する資質・能力の基礎を培うことを重視していく必要がある。

 

2.目標及び育みたい探究力と省察性

(1)社会科の目標

 社会生活についての理解を図り,我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を育て,国際社会に生きる平和で民主的な国家・社会の形成者としての必要な公民的資質の基礎を養う。(=よりよい社会の形成に参画する資質・能力の育成)

(2)育みたい探究力

 社会的な見方・考え方を働かせながら,実社会に存在する課題を問題と捉え,問題解決のために様々な情報を収集し,整理分析し,仲間と共に問題解決方法を創造し,表現・発信する資質・能力。

(3)育みたい省察性

 自他の問題解決について社会的な見方・考え方を働かせながら,見通したり,振り返ったりし,学習を調整・改善しながら問題解決の質を高める資質・能力。

 

3.探究的な学びのイメージ

 

 

4.探究力と省察性を育む指導

  よりよい社会の形成に参画する資質・能力を育成するためには,社会の問題の解決に向けて社会的な見方・考え方を働かせながら問題解決を進める「探究力」と自らの問題解決を調整・改善しながら進めるための「省察性」を育む必要がある。そのためには,学習問題と単元構成の2つが特に重要であると考える。

 まず,学習問題では,以下の3つの視点を重視し,学習問題づくりを行う。

 次に,単元構成では,「社会的事象を考察する過程」と「社会的事象を構想する過程」の2つを位置付けることを重視している。

 「社会的事象を考察する過程」とは,社会的事象についての情報を収集し,考察することで意味や特色,傾向などについて考察し,社会的事象についての理解を深めたり,多面的な視点で捉えたりすることを行う過程である。

 「社会的事象を構想する過程」とは,問題解決に向けて,自らの社会的事象へのかかわり方や問題解決の方法を創造したりして,問題解決に向けて社会に参画していく過程である。

5.研究の評価

 取り組んだ授業実践の中での子どもの言葉をもとに,研究の成果と課題を明らかにしていく。その際に授業での子どもの言葉やノートの記述などの子どもの表現物を用いて研究の質的評価を行う。また,年度初めと年度末にアンケート調査を行い,アンケート結果による量的評価も行う。

 

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